持統天皇と額田王★


≪シェキナー白山菊理姫
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額田におけるその価値が、常に側近として待し、
帝王を飽きさせない美貌と才智にあるとするならば、
それに対する二皇女のそれは、他に隔絶する、その尊貴性にある。


血統があらゆることに先行して重視されていた日本古代社会において、
天智の諸皇女のうちでも、出自の正しい大田と鸕野は、
取り分け輝かしい存在であった。


父・天智、夫・大海人との双方の心を奪い、
しかも、宴席における人気者として
花やかに振る舞う額田を、鸕野皇女が平静な心で、
果して見過ごしておられたろうか。


その上、筆者の推測に過ぎないが、
もし姉の大田と自分との二人揃っての大海人後宮入りが、
額田との交換条件によるものと悟っていたとしたならば、
彼女がどれほど深く心を傷つけられていたか、
それは、想像に余りあることである。


吉野裕子持統天皇」)

今まで、わたし自身は、権力や権威を強く渇望する人に
あまり共感を持つことが出来なかったほうだったと思います。


けれど、今回の≪シェキナー≫のタイミングで、
鸕野讚良皇女の気持ちに自分なりに
寄り添ってみたときに、
その痛みと渇望に共感できたのです。
これは、わたしが、自分のなかの深く抑圧していた
「嫉妬と羨望」に新たなレベルで向き合った結果だったと思います。


これだけの要素と痛みを抱えながら、
鸕野讚良皇女自身は、姉の大田皇女亡き後、
最も高貴な出自で、
父親の天智天皇譲りの、強い胆力と能力と野望を備えている。


それで、権力や権威を求めないということは、
そもそも無理があると思う。
それを得るだけの力と権利があるのだもの。
それを、額田王にだけは、手渡したくないと
強く決心するのも、わからなくない。


同じように、あるときから、
兄に退けられるようになった大海人(天武天皇)が、
みすみす、天皇の地位を手放し、
兄に滅ぼされるままになることに、同意できなかったということも、
深く理解できます。


そのようにして、「壬申の乱」が、
大海人皇子と、鸕野讚良皇女の力の利害の一致によって、
成功裡をおさめます。