アーサーとランスロットの違い☆


12月24日(火)クリスマスイブ ≪ギネヴィア≫
http://shanti-flare.ocnk.net/product/247




ケルト伝承のなかでは、さらわれたギネヴィアを救出するのは、アーサーになっているのですが、トルバドール版のアーサー王物語では、ギネヴィアを救出するのも、ランスロットになっています。

アーサーは、ギネヴィアをさらったメレアガントに対して、ただ物柔らかに、
「自分に処理できる能力のない問題は、多分じっと耐え忍ぶより他、しようがないのだ」
と答え、ギネヴィアを救出する意志がないと伝えます。

そこで、ランスロットが、ギネヴィア救出に立ちあがるのです。


アーサーは、ギネヴィアを愛しているのでしょうけれども、ギネヴィアに対して、それほど情熱をもっているというわけではないような印象を受けます。
事が起きたときにも、非常に冷静な判断をします。
もともと、そんなにギネヴィア自身を、信頼しているという感じでもなく、女性に対して盲目的になるということも無い感じです。
これは、王としては、有能である資質であるのかもしれません。


それに対して、ランスロットは、ギネヴィアへの恋慕に苛まれて、食べることも飲むこともできず憔悴したり、ギネヴィアに冷たくされると、気がおかしくなってしまったりします。
そういう時、英雄として、全く機能しなくなってしまいます。
逆に、ギネヴィアが自分を見守っていると感じると、力が湧いてきて、より勇敢になります。
ランスロットは、ギネヴィアに献身するときに、一番雄々しくなることができるのです。


ランスロットは、王妃との関係が忠義に反する罪であることを知っていたが、どうしても彼女をあきらめることができなかった。
ランスロットは、彼を責めるある隠遁者に、これは、これまで犯した罪の中でも最も甘美なすばらしい罪なので、どうしても悔い改めることができないと語っている。
もし悔い改めることになれば、身の破滅となるだろう。
何故ならば、わたしをこのようにしたのは、王妃のわたしへの愛情なのだから。
わたしの成功、名声はすべて王妃がかきたててくれる愛の力のおかげである
。」


そして、アーサーは、ほかの女性とも関係を結んだりもしますが、ランスロットは、ギネヴィア以外を愛することがないのです。
正確には、姦計にあって、ギネヴィアだと思って他の女性と関係する過ちを犯すのですが、それを知ったギネヴィアが激怒すると、ランスロットは、失望のあまり、気が触れてしまうのです。
モルガンが、女性たちすべてに強い魅力をもつランスロットを滅ぼそうと陰謀をたくらみ、自分たちと関係を持つか、死を選ぶかと迫るときにも、ランスロットは、死を選んで、自分の貞潔を守りたいと答えるほどに、ギネヴィア一筋なのです。


こういう男性って、本当に稀だと思うのです。
そして、実際に死に至るまで、ギネヴィアしか愛しません。
ランスロットは、とても美男だったので、多くの女性が彼に夢中になるのですが、脇目も向かないのです。

このアーサーとランスロットのギネヴィアに対しての対応の違いは、どこに端を発するのでしょうか?


それは、アーサーは、両性具有の魔術師マーリンに養育され、ランスロットは「湖の淑女」と呼ばれる妖精の女王に養育されたという違いが関係しているのかもしれません。



アーサーも、ランスロットも、実の両親以外の、異界に足を踏み入れている常人以上の人に育てられるということで一致しています。

ですが、アーサーは、いわゆる帝王教育のようなものをマリーンから仕込まれたのに対して、ランスロットは、「湖の淑女」に慈しまれ、情緒に溢れた少年として育ちます。

「湖の淑女」は、きっと女性からの理想の男性となるようにランスロットを育てたのでしょう。
それのなかには、一途に一人の女性を愛するということが、女性を敬愛するという姿勢が、女性が、最も男性に求める資質であるということも教え諭していたのかもしれません。
女性を幸せにするということが、真の英雄として必要なことなのだということを「湖の淑女」は、ランスロットに教えたのでしょう。
そして、そのような資質が、ランスロットのなかで素直に育っていった。


アイルランド伝承や、ウェイルズ伝承の英雄たちは、多く女たちの手で知恵と戦いの術を仕込まれるが、それは古代ケルトの実生活上の習慣のなごりをとどめるものと思われる。
心理的な見方をすれば、父親なしで育った英雄というのは、いわば独立独歩の男を意味する。
男らしさの美徳は、すべて自分自身の力からくるものであるからである。

同時に、女たちの間で大きくなったということは、明らかに英雄が表面的な物事のはるか奥底にひそむ、深い神秘世界の秘儀を授けられた人間であることを暗示している。
それは、湖の淑女の家が、幻影の湖の水面下深く存することを見ても明らかだ。
ランスロットが、十八歳になったとき、湖の淑女は悲しくも彼を人間界に戻してやらなければならない時が来たと悟る。
それで、ランスロットに真の騎士たる美徳と責任が何であるか、教訓を垂れて聞かせる。
湖の淑女は、彼をアーサーの宮廷に連れてゆく。」


ランスロットは、一生涯たった一人の女性を熱烈に恋し続け、その結果、大悲劇を引き起こすのであるが、そういう彼こそ真の英雄なのである。」


12月24日(火)クリスマスイブ☆女神ワーク≪ギネヴィア≫

お申込み締切は、12月23日(月)夜10時まで。
お申込みは、シャンティフレアサイト↓からお願いいたします。
http://shanti-flare.ocnk.net/product/247