エロール・ル・カイン「キューピッドとプシケー」




それでは、久しぶりに「絵本コレクション」も、ご紹介します!
エロール・ル・カインの「キューピッドとプシケー」です。
ウォルター・ペイター版の原作を元に書かれた「キューピッドとプシケー」の絵本です。


ある王国の末娘の姫であるプシケー。
あまりの美しさに、人々は、女神ヴィーナスを軽んじるようになる。
それが、女神ヴィーナスの怒りを買い、プシケーは、試練に遭います。


はっきり言って、ヴィーナスの仕打ちにやられっぱなしのプシケーですが、そのたびに、いろいろな存在や神々が、プシケーを助け、無事再び、キューピッドの妻となります。

プシケー、一人で乗り越えられた試練は、一つもないのです。
そして、自業自得なことも、しばしば。
でも、一つだけプシケーが持っていたもの。
それは、キューピッドへの「一途な想い」。


プシケー(プシュケー)は、古代ギリシャの言葉で、もともとは息(いき、呼吸)を意味しており、転じて生きること(いのち、生命)、また心や魂を意味するようになった言葉であるそうですが、プシケーは、わたしたち愚かな人間の寓意であり、でもそれゆえに天界の神々に愛されているということの象徴でもあるような気がします。


愚かであっても愛される。
もしかしたら、愚かさゆえに愛されている。


そんなことを、思い出させてくれる。
ときどき、迷ったとき、落ち込んだときに、開く大切な美しい絵本です。