失われた子供時代というもの☆≪ハトホル≫


ハトホル
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今夜の「豊かさの女神とトリニティ」は、
聖母マリアのエネルギーに満たされた≪ハトホル≫によって、
失われた子供時代を取り戻すものにもなりますので、
以下抜粋してみます。
ご参考ください。


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母親の方は、東京の山の手で何の不自由もなく育った高級官僚の娘で、
夫の意見に対抗できるような意見も人格も持ち合わせてはいなかった。
僕の見た限りでは、彼女は自分の目に見える範囲を超えた物事に対しては
(実際には彼女は、彼女はひどい近眼だったのだが)
どのような意見も持っていなかった。


彼女の欠点は、そのようなタイプの女性が往々にしてそうであるように、
どうしようもないほどの見栄っ張りであることだった。
自分の価値観というものを持たないから、
他人の尺度や視点を借りてこないことには、
自分の立っている位置がうまくつかめないのだ。


その頭脳を支配しているのは、
「自分が他人の目にどのように映るか」という、
ただそれだけなのだ。
そのようにして、彼女は夫の省内での地位と、
息子の学歴だけしか目に入らない狭量で神経質な女になった。
彼女は、息子に対して、最も有名な高校に行って、
最も有名な大学に行くことを要求した。


息子が一人の人間としてどのような幸せな少年時代を送り、
その過程でどのような人生観を身につけていくかというようなことは、
想像力の遥か枠外にあった。
もし誰かが、そのような点についていささかなりとも疑問を呈したりしたら、
彼女はおそらく真剣に腹を立てたことだろう。
それは、彼女の耳にはいわれのない個人的な侮辱のように響いたことだろう。


両親は、いつも最高の家庭教師をつけ、息子の尻を叩きつづけた。
優秀な成績を取れば、彼らはその褒美として息子が望むものを
何でも買って与えた。
おかげで彼は、物質的にはきわめて恵まれた少年時代を送った。
しかし、人生における最も多感で傷つきやすい時期に、
彼には、ガールフレンドもなく、友達と羽目を外して遊ぶ余裕もなかった。


一番でありつづけるために、
その目的だけのために、
あらゆる力を傾注しなくてはならなかったのだ。
いずれにせよ、そのようにして彼は優秀な私立高校から、
東大の経済学部へと進み、優秀に近い成績でそこを卒業した。
(「ねじまき鳥クロニクル村上春樹

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多かれ、少なかれ、このような子供時代を
送らねばならなかった人たちへ、
たくさんの≪ハトホル≫の母性の恵みが届きますように☆